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                                    1998年02月18日(水)稿
                                   2003年03月22日(土)改訂

          「合併に際して必要な公告」の種類

                                          佐々木 正 己

【1】 「合併に際して必要な公告」の種類

 「合併に際して必要な公告」には、次の四種類がある。
  (1)「合併公告」
  (2)「合併並びに資本減少公告」
  (3)「合併につき株券提出公告」
  (4)「簡易合併」の場合の「存続会社の株主への合併公告」

 (4)を除き、(1)から(3)については、「『公告』をしたことを証する書面」は、「合併
の登記申請」の際の「添付書面」になる(商業登記法第90条第3号、商業登記法第87条第
1号、商業登記法第67条第2号、商業登記法第90条第6号)。

 平成13年10月1に施行された改正商法等により、商業登記法第90条第5号が削除され
た(「平成13年法律第80号」41条)ことにより、従来は、「合併の登記申請」の際の「添
付書面」となっていた、次の「『公告』をしたことを証する書面」は、「合併の登記申請」の際
の「添付書面」には、ならなくなった。
 (1) 「消滅会社」が「合併に伴い『株式の併合』をした」場合には、「消滅会社」の「商
    法第215条第1項」の規定による「合併につき株券提出公告」
 (2) 「消滅会社」が「合併に伴い『株式の分割』をした」場合には、「消滅会社」の「商
    法第215条第1項」の規定による「合併につき株券提出公告」


【2】 「合併公告」

 「合併公告」とは、「合併に伴う債権者保護手続き」としての「商法第412条第1項」の
規定による「公告」である。
 「『合併公告』をしたことを証する書面」は、「合併の登記申請」の際の「添付書面」になる
(商業登記法第90条第3号)。
 「合併公告」は、「通常合併」・「簡易合併」を問わず、また、「存続会社」・「消滅会社」を問
わず、「合併」の際には必ず行う「公告」である。
 「合併公告」の「公告方法」は、「定款所定の官報又は日刊新聞紙」ではなく、必ず「官報」
に掲載して行う(商法第412条第1項)。
 「合併公告を掲載すべき時期」は、「簡易合併」でない「通常合併」の場合には、「存続会社」
及び「消滅会社」のそれぞれの「合併契約書承認の株主総会開催日」後2週間以内の日付の「官
報」に掲載する(商法第412条第1項)。実務上は、「簡易合併」でない「通常合併」の場合
には、「存続会社」と「消滅会社」とが連名で「合併公告」を掲載しているので、「官報への掲
載日」も同日になっている。
 「簡易合併」の場合には、「合併公告をすべき時期」が、「存続会社」と「消滅会社」とでは
異なる。
 「簡易合併」の場合の「存続会社」は、「合併契約書の調印日」より2週間以内の日付の「官
報」に掲載する(商法第412条第1項、商法第413条ノ2第9項)。
 「簡易合併」の場合の「消滅会社」は、「合併契約書の承認総会開催日」より2週間以内の
日付の「官報」に掲載する(商法第412条第1項)。

  「通常合併」の場合
   「存続会社」:「合併契約書の承認総会開催日」より2週間以内
   「消滅会社」:「合併契約書の承認総会開催日」より2週間以内

  「簡易合併」の場合
   「存続会社」:「合併契約書の調印日」より2週間以内
   「消滅会社」:「合併契約書の承認総会開催日」より2週間以内

 なお、2週間経過後の日付の「官報」に掲載した場合でも、登記手続き上は有効な公告とし
て取り扱われる(昭和43年2月21日民事四発第133号民事局第四課長電報回答参照)。
 また、「官報」と「定款所定の公告方法である『官報』以外の日刊新聞紙」とに「合併公告」
を「二重公告(ダブル公告)」する場合の「定款所定の公告方法である『官報』以外の日刊新
聞紙」に「合併公告」を掲載すべき時期は、「官報」に掲載すべき時期と同一である。


【3】 「合併並びに資本減少公告」

 「合併並びに資本減少公告」とは、「合併」の際の、次の二つの「債権者保護手続き」を一
括した「公告」である。
 (a) 「合併に伴う債権者保護手続き」としての「商法第412条第1項」の規定による
    「合併公告」
 (b) 「合併」の際の「資本減少に伴う債権者保護手続き」としての 
    「商法第376条第2項が準用する商法第100条第1項」の規定による「資本減少
    公告」

 「合併」の際の「資本減少」は、「存続会社」のみに起きる事項であるので、「消滅会社」に
ついて「資本減少」を問題にする必要はない。したがって、「合併並びに資本減少公告」は、「存
続会社」のみが行う「公告」である。
 しかし、実務上は、「合併並びに資本減少公告」を、「存続会社」と「消滅会社」とが連名で
「公告」している。
 なお、「簡易合併」の場合には、「存続会社」において「株主総会」を開催しないので、「合
併」の際に「資本減少」をすることができない。したがって、「合併並びに資本減少公告」は、
「簡易合併」でない「通常合併」の場合のみ行われる「公告」であり、「簡易合併」の場合に
は行われることがないので、注意すべきである。
 「合併並びに資本減少公告」の「公告方法」は、「定款所定の官報又は日刊新聞紙」ではな
く、必ず「官報」に掲載して行う(商法第412条第1項、商法第376条第2項が準用する
商法第100条第1項)。
 「合併並びに資本減少公告を掲載すべき時期」は、「存続会社」の「合併契約書承認の株主
総会開催日」後2週間以内である(商法第412条第1項、商法第376条第2項が準用する
商法第100条第1項)。

 なお、2週間経過後の日付の「官報」に掲載した場合でも、登記手続き上は有効な公告とし
て取り扱われる(昭和43年2月21日民事四発第133号民事局第四課長電報回答参照)。

 ちなみに、「債権者への個別催告」を省略するために行う、「官報」と「定款所定の『官報』
以外の日刊新聞紙」とに二重に「合併公告」を行う「二重公告(ダブル公告)」の制度は、「合
併公告」のみに認められているものであり、「資本減少公告」については認められていない。
 したがって、「合併並びに資本減少公告」を「定款所定の『官報』以外の日刊新聞紙」に掲
載しても、法的には無意味である。

 「『合併並びに資本減少公告』をしたことを証する書面」は、「合併の登記申請」の際の「添
付書面」になる(商業登記法第90条第3号、商業登記法第87条第1号、商業登記法第67
条第2号)。


【4】 「合併につき株券提出公告」

 「合併に伴う株券提出手続き」としての「合併につき株券提出公告」は、次の三つの場合が
ある。
 (1) 「存続会社の定款に株式譲渡制限の規定があり、消滅会社の定款には株式譲渡制限
    の規定がない」場合(商法第408条第4項前段)には、「消滅会社」の「商法第
    416条第5項が準用する商法第350条第1項」の規定による「合併につき株券提
    出公告」
 (2) 「存続会社が合併に因り定款を変更して株式譲渡制限の規定を新設する場合におい
    て、消滅会社には株式譲渡制限の規定がある」場合(商法第408条第5項)には、
    「存続会社」の「商法第416条第5項が準用する商法第350条第1項」の規定に
    よる「合併につき株券提出公告」
 (3) 「存続会社が合併に因り定款を変更して株式譲渡制限の規定を新設する場合におい
    て、消滅会社にも株式譲渡制限の規定がない」場合(商法第408条第5項)には、
    「存続会社」及び「消滅会社」の「商法第416条第5項が準用する商法第350条
    第1項」の規定による「合併につき株券提出公告」


(1) 「存続会社の定款に株式譲渡制限の規定があり、消滅会社の定款には株式譲渡制限の
   規定がない」場合(商法第408条第4項前段)には、「消滅会社」の「商法第416
   条第5項が準用する商法第350条第1項」の規定による「合併につき株券提出公告」

    この場合の「公告方法」は、「消滅会社」の「定款所定の官報又は日刊新聞紙」に掲
   載して行う。
    この場合の「株券提出公告を掲載すべき時期」は、特に規定されていない。「合併手
   続き」をできるだけ短期間で完了させるためには、「存続会社」及び「消滅会社」の「合
   併契約書承認総会」終了後、直ちに「公告」すべきである。
    この場合の「『合併につき株券提出公告』をしたことを証する書面」は、「合併の登記
   申請」の際の「添付書面」になる(商業登記法第90条第6号)。

(2) 「存続会社が合併に因り定款を変更して株式譲渡制限の規定を新設する場合において、
  消滅会社には株式譲渡制限の規定がある」場合(商法第408条第5項)には、「存続会
  社」の「商法第416条第5項が準用する商法第350条第1項」の規定による「合併に
  つき株券提出公告」

   この場合の「公告方法」は、「存続会社」の「定款所定の官報又は日刊新聞紙」に掲載
  して行う。
   この場合の「株券提出公告を掲載すべき時期」は、特に規定されていない。「合併手続
  き」をできるだけ短期間で完了させるためには、「存続会社」及び「消滅会社」の「合併
  契約書承認総会」終了後、直ちに「公告」すべきである。
   この場合の「『合併につき株券提出公告』をしたことを証する書面」は、「合併の登記申
  請」の際の「添付書面」になる(商業登記法第90条第6号)。

(3) 「存続会社が合併に因り定款を変更して株式譲渡制限の規定を新設する場合において、
  消滅会社にも株式譲渡制限の規定がない」場合(商法第408条第5項)には、「存続会
  社」及び「消滅会社」の「商法第416条第5項が準用する商法第350条第1項」の規
  定による「合併につき株券提出公告」

   この場合の「公告方法」は、「存続会社」及び「消滅会社」のそれぞれの「定款所定の
  官報又は日刊新聞紙」に掲載して行う。
   この場合の「株券提出公告を掲載すべき時期」は、特に規定されていない。「合併手続
  き」をできるだけ短期間で完了させるためには、「存続会社」及び「消滅会社」の「合併
  契約書承認総会」終了後、直ちに「公告」すべきである。
   この場合の「『合併につき株券提出公告』をしたことを証する書面」は、「合併の登記申
  請」の際の「添付書面」になる(商業登記法第90条第6号)。


【5】 「簡易合併公告」の場合の「存続会社の株主への合併公告」

 「簡易合併公告」とは、「合併」の際の、次の「債権者保護手続き」と「株主保護手続き」
とを一括した「公告」である。
 (1) 「合併に伴う債権者保護手続き」としての「商法第412条第1項」の規定による
    「債権者に対する合併公告」
 (2) 「合併」の際の「『簡易合併』に伴う株主保護手続き」としての「商法第413条
    ノ3第4項」の規定による「株主に対する合併公告」

 「簡易合併」の場合には、「存続会社」においては「株主総会」を開催しないで、取締役会
の決議で「合併」が行われるので、「存続会社」の株主の知らない間に「合併」が行われるこ
とになる。
 「通常合併」の場合には、株主総会の決議が必要であるので、株主の意向が反映される機会
が確保されている。
 そこで、「簡易合併」の場合にも、「存続会社」の株主の意向が反映される機会を確保するた
めに、下記の事項を「公告」するか又は「株主に通知」させることにした(商法第413条ノ
3第4項)。
 (1)「消滅会社」の「商号」及び「本店」
 (2)合併期日
 (3)株主総会(商法第408条第1項)の承認を得ないで合併をする旨

 「簡易合併」の場合の「存続会社の株主への合併公告」は、上記事項を「株主への個別通知」
した場合には、行う必要がない。ただし、「存続会社」が「非閉鎖会社」の場合には、「株主」
が変動し「個別通知」すべき「株主」の特定が困難であるので、実務上は、「株主への個別通
知」よりも「株主への合併公告」の方が選択される。
 「簡易合併公告」の「公告方法」は、上記(1)の「債権者に対する合併公告」は「官報」
に掲載し、上記(2)の「株主に対する合併公告」は「存続会社」の「定款所定の官報又は日
刊新聞紙」に掲載して行う。

 実務上は、「存続会社の株主への合併公告」は、「存続会社」の「合併公告」と同時に同一文
面上で行われており、「存続会社」の「合併公告」と別個に行われていることはない。
 なお、「定款所定の公告方法」が「官報」であれば、「官報」に、「合併公告」と同時に「存
続会社の株主への合併公告」を掲載すれば、「株主への個別通知」を省略することができる。
しかし、「定款所定の公告方法」が、「『官報』以外の日刊新聞紙」である場合には、「官報」に、
「合併公告」と同時に「存続会社の株主への合併公告」を掲載しても、法的意味をもたないの
で、「株主への個別通知」を省略することができない。
 実務上、「存続会社」が「債権者への個別催告」を省略するために「官報」と「定款所定の
『官報』以外の日刊新聞紙」とに二重に「合併公告」をする場合、つまり、「二重公告(ダブ
ル公告)」をする場合には、「官報」と「定款所定の『官報』以外の日刊新聞紙」との双方に、
「合併公告」と同時に「存続会社の株主への合併公告」を掲載している。
 「『存続会社の株主への合併公告』を掲載すべき時期」は、「合併契約書の調印日」後2週間
以内の日付の「定款所定の官報又は日刊新聞紙」に掲載する。
 「『「存続会社の株主への合併公告」』をしたことを証する書面」は、「合併の登記申請」の際
の「添付書面」にはなっていない。


【参考資料1】
「民事月報52巻7号(平成9年7月号)」法務省民事局 発行
法務大臣官房参事官 菊池洋一稿「平成9年の商法改正について(上)」46頁・48頁

 《存続会社は,合併契約書の作成の日から2週間以内に,消滅会社の商号及び本店(の住所),
合併をすべき時期(合併契約書に記載されている,いわゆる合併期日)並びに承認総会を得ず
に合併をする旨を公告し,又は株主に通知することを要する(4項)。存続会社の株主は,簡
易合併に反対の意思を通知することができ,さらに株式買収請求権がある(5項)ので,簡易
合併手続が進行中であることを知らせ,これらの権利行使の機会を保証しようとするものであ
る。この公告は,存続会社が定款で定める公告方法による。》

【参考資料2】
「平成9年9月19日付け法務省民四第1709号民事局長通達 第二・一・(9)イ」

 《株主に対する公告又は通知存続会社は、合併契約書を作成した日から二週間内に消滅会社
の商号及び本店、合併期日並びに合併総会の承認決議を得ずに合併する旨を公告し、又は株主
に通知しなければならない(法四一三条ノ三第四項)。》



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